レッドハットのクラウドコンピューティングに関する進捗


2009年10月20日

レッドハットはクラウドコンピューティング分野で非常に精力的な活動を続けていますが、ここで最近の動向と最新情報をお伝えします。

最初にご紹介するのは、最近シカゴで開催されたRed Hat Summit/JBoss Worldイベントでの、レッドハットCTOのBrian Stevensによる基調講演です。彼はクラウドコンピューティングに焦点を合わせたプレゼンテーションを行い、レッドハットがサポートしているいくつかのクラウド関連オープンソースプロジェクトを取り上げました。彼のプレゼンテーションはこちらでご覧ください。このカンファレンスではクラウド関連のプレゼンテーションもいくつか行われましたが、それらはこちらからダウンロードできます。

遠くから鳥瞰すると、この数ヶ月間に2つのかなり明白なパターンが現われているように思われます。

  • 第1に、クラウドコンピューティングは主としてx86ベース、さらに言えば64ビットx86が中心になっているようです。この傾向は、可能な限り標準化されたハードウェアとソフトウェアを使いたいというクラウドユーザの強い要望によって促進されているように思われます。そして、莫大な処理能力を実現する多数のコア、大容量のメモリ機能、小さなスペース/電力要件を備えた最新世代のx86プロセッサによって、それが可能になってきていることは間違いありません。現在までにレッドハットが関わったクラウドユーザは、すべてx86ベースでした。わずかな割合でx86以外のクラウドが構築されるかも知れませんが、それらはプライベートな配備に限定される可能性が高いのではないでしょうか。こうしてx86アーキテクチャの採用がさらに増加することで、市場におけるRISC/UNIXの衰退が速まるというという予測もあります。
  • 第2に、CIOやITマネージャの大部分がクラウドのメリットを十分に理解している一方で、クラウドの広範な採用を阻む障害も散見されるようです。顕著な障害の1つはクラウドの標準規格に関するものであり、裏返して言うと、いかなる種類のベンダロックインも回避したいというニーズです。明らかに、クラウドの標準規格が確立され、クラウドサービスプロバイダに受け入れられるまでは、お客様がクラウドコンピューティングの使用に制限を設ける可能性が高く、その潜在的価値が低下することになります。その他にも、技術的なもの(セキュリティの確保など)から運用面(アプリケーションデータ管理)やビジネス上の問題(価格モデル)まで、様々な障害が存在します。そのため、現在利用可能なクラウドによる成功例もある一方で、クラウドコンピューティングが幅広い配備に適するものになるためには、今後も多くの作業を行っていく必要があります。

少し視点を下げると、最近の刺激的な進展として、以下のような話題が見えてきます。

  • 10月5日、DISA(米国防情報システム局)は、同局のRACE(Rapid Access Computing Environment)クラウド機能が利用可能になったと発表しました。こちらとこちらをご覧ください。

    RACEはDoD(米国防総省)の各組織が内部的に利用できます。「重要なのはユーザの要件を満たすことです」と、DISAコンピューティングサービスのテクニカルプログラムディレクタであるHenry J. Sienkiewicz氏は語っています。「RACEはDoDにとって初めての試みです。ユーザは、テストおよび開発用の場合で24時間以内、本番環境の場合で72時間以内に、コンピューティングプラットフォームのカスタマイズ、購入、受領を行うことができるようになりました。これは、コンピューティングの要件が常に変化する世界規模のミッションにとって必須条件です。」

    RACEはx86ベースであり、Red Hat Enterprise LinuxとMicrosoft Windowsのゲストをサポートしています。
  • 10月8日、NTTコミュニケーションズはRed Hat レッドハットのKVM(Kernel-based Virtual Machine)仮想化テクノロジに基づくクラウドのベータサービスを開始しました。こちらをご覧ください。

    日本の主要な通信事業者の1つであるNTTは、レッドハットと提携してクラウドプラットフォームを構築しました。さらに、NTTはKVMの機能を向上させるためにレッドハットとの共同作業を継続しています。
  • Red Hat Summitでの基調講演の中でBrian Stevensが発表したDeltacloudは、相互運用性の問題に対処する方法として注目を集めているようです。次の引用文は、Deltacloudの概要を示しています。

    クラウド市場の急速な成長とともに、多数のサプライヤから幅広い機能(高コスト、高性能、高セキュリティ、高可用性のサービスから、保証の少ない低コストのサービスまで)が提供されることになります。すでに各サプライヤは、自社が提供する機能を反映した一連の管理API(インターフェイス)やツールをお客様に提供しています。それと並行して、お客様はプライベートクラウドを構築しており、いずれは外部サプライヤとの統合を希望することになります。その結果、管理インターフェイスが多岐に渡ることになり、プライベートクラウドと複数のパブリッククラウドとのシームレスな統合が困難になって、お客様にとっての価値が低下します。そこで登場するのがDeltacloudです。その目的は、あらゆるクラウドの管理に使用できる、オープンな、標準化されたインターフェイスを提供することにあります。オープンソースプロジェクトなので、お客様やサプライヤがそれぞれのニーズに合わせて拡張できます。バックエンドのドライバが、個々のクラウドサービスに対する接続を提供します。基本的に、Deltacloudはクラウド管理ブローカの役割を果たします。たとえば、Deltacloudを使用する管理アプリケーションは、低コストのクラウド、高性能なクラウド、高度なセキュリティを備えたクラウドなどを識別して、それらすべてに一貫した管理インターフェイスを提供できます。このように、Deltacloudは個々のクラウド管理機能を代替するのではなく、広範なクラウド群をカバーする、より高水準の抽象化を提供します。
  • 10月7日、レッドハットとMicrosoftは両社による最初の仮想化認定が完了したと発表しました。これによって、Red Hat Enterprise LinuxとMicrosoft Windowsの両方をホストまたはゲストとして配備することが可能になり、両社によって完全にサポートされることになります。この発表の詳細については、レッドハットのWebサイトをご覧ください。

    この発表によって、お客様がプライベートクラウドにRed Hat Enterprise LinuxとMicrosoft Windowsの両方を配備しようとする場合、それらの異種混合の構成がテスト済みであり、両社の協力が得られるという確信を持って前進するための道が拓かれます。ホスティングやクラウドのプロバイダ各社は、レッドハットとMicrosoftの仮想化テクノロジをより柔軟に組み合わせることが可能になります。もちろん、我々は自社の仮想化ソリューションを有益で訴求力のあるものにして、お客様のクラウド用にレッドハットの仮想化インフラを選んでもらえるよう努力していますが、このブログで何度か指摘してきたように、クラウドの成功にとって重要なのは、選択、共存、および標準だと考えています。

    要約すると、完了した認定には以下の内容が含まれます。
    • Red Hat Enterprise Linux 5.4(KVMハイパーバイザを使用)とWindows Server 2003、2008、およびWindows Server 2008 R2ゲストの検証。
    • Windows Server 2008 Hyper-V、Microsoft Hyper-V Server 2008、Windows Server 2008 R2 Hyper-V、およびMicrosoft Hyper-V Server 2008 R2ホストと、Red Hat Enterprise Linux 5.2、5.3、および5.4ゲストの認定。
  • 順序は最後になりますが他に劣らず重要な話題として、クラウドコンピューティングにおけるレッドハットの最初のパートナーであるAmazon EC2がますます大きな成功を収めているようです。レッドハットのサービスをEC2で提供するようになって18ヶ月以上になります。我々は、Red Hat Enterprise LinuxとJBossの両方を使用したEC2配備の採用拡大に対する関心の高まりを感じており、将来のクラウド技術についてAmazonとの緊密な共同作業を続けていますので、この件に関する今年の続報にご注目ください。

要約すると、この数ヶ月の間にクラウドコンピューティング分野ではレッドハットによる大きな進捗がありました。標準規格に基づくオープンソーステクノロジは、元々クラウドに適しています。お客様とパートナー各社がクラウドコンピューティングの効率を短時間で実現できるよう、他の重点的テクノロジ分野と同様に、レッドハットは可能な限り迅速な革新の推進に努めています。

原文はこちら(英語)をご参照ください。